ちょっと悲しい話
おばさんとおじさんのお墓参りいったりして。
おばさんは40代で亡くなった。ガンだった。
最初はちょっとした病気で入院して手術して退院・・・するはずだった。
でも何故か長引いてずっと入院してた。
そんな感じで5年が過ぎて私が高1の夏。お母さんが言った。
「末期ガンだって。もって10月だって」
お母さんは実のお姉さんのことなのに泣きもせず話した。それが逆にかわいそうでならなかった。
お見舞いにいってもおばさんは元気で信じることができなかった。認めたくなかった。
おばさんには一切その話はされてなかった。だからお見舞いにいってもどういう顔をしたらいいのかわからなかった。
夏が過ぎてどんどん具合は悪くなっていった。ついには呼吸器がついて話もできなくなった。それを見たのが最後だった。
お医者さんがいったように10月に亡くなった。
おばさんが入院していた病棟は婦人科だった。きっとおばさんが亡くなったとき、同じ場所で新しい命が生まれてただろう。そう考えるとなんとも不思議な気持ちだった。
おじさんはとても落ち込んだ。お酒も前よりも飲むようになった。だから体調も悪くなっていってた。
おじさんはおばさんが亡くなって1年経ってすぐに脳梗塞で亡くなった。子供がいなかったから一人で悲しかったと思う。ずっと看病してたのにぽっかりと穴が空いてしまったのだから。
よく映画やドラマで「最期のとき」が流れている。まるでそういうこと全てが美しいことかのように。それに感動することがいいことかのように。
実際、そんないいものじゃない。だって人が死ぬのに感動もなにもないから。ただ悲しいだけだから。